木質バイオマス・ガス化発電装置の実例:

 

ESPE社製CHiP 50

 

オーナー:イタリア北部、Piacenza市郊外の個人農園主

(いちご、花類、カボチャなど)

 

 

ESPE社の木質バイオマス・ガス化発電装置を導入してから2年半、この農家の特徴は、CHiP50から生み出される電気、熱、灰の全てを有効に活用して利益を出しているということにあります。サイドビジネスとして農園の横にカフェを建て、地元の人たちに憩いの場を提供する余裕も生まれています。

 

電気はFITにて全量売電、熱は併設されたペレット生産設備で通年利用、木質チップ燃焼後排出される灰(投入されるチップの2-3%)は隣接の自家農園で肥料として利用しています。

燃料となる木質チップは、地元イタリアのModena市近郊から搬入されてきます。(燃料の搬送距離は約120km、高速道路で約1時間半ほど。)

 

搬入されてきた木質チップは、CHiP50用と併設のペレット生産用に分けられ、それぞれの装置に投入されます。

CHiP50のダウンドラフト式ガス化装置で生産された合成ガスは、チェコのTEDOM社製エンジンに送られ、発電が開始されます。

CHiP50の運転状況は、液晶画面により常時監視可能。

 

 

CHiP50からの排熱は、併設のペレット製造施設にて通年利用。

 

 

 

木質バイオマス燃焼後に排出される灰は、プラント外部で収集されます。灰は細かい粒の黒色で、牛糞などと混合され自家農園で肥料として全量消費されています。

 

灰が肥料として利用されている農園。CHiP50プラントのすぐ横に立地。

 

ESPE社では、イタリア全土のCHiP50のオーナーに対して、1,000時間毎にメインテナンス業務を行なっています。この場合、作業員二人がESPE社から派遣され、約一日でメインテナンス作業は終了します。(部品の交換作業を含む。)

 

CHiP50は、燃料として木質チップを1時間あたり約50kg(含水率10%換算)消費します。(年間運転時間:約7,500時間)

 

電気、排熱、そして灰までも有効に活用することにより、この農園におけるCHiP50の採算性は高く、小型バイオマス発電導入において、イタリア国内でも突出した成功事例となっています。